Wajahat Karimが実践した、ビルド・イン・パブリックで顧客を掴む方法
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Android開発者として長いキャリアを持つWajahat Karimは、RemoteKaroで築いた個人ブランドを土台に、shipkaroという実験的なプロダクト群へ軸足を移した。2週間ごとに新作を出す方針、Google Play上でのCVR改善、SNSでの発信量を組み合わせ、初期ユーザー獲得と学習速度を高めている点が特徴だ。
- 非公開
- モバイルアプリ
- 生産性/汎用
- SNS
- OpenRouter
- ElevenLabs
- Mistral
この記事は『業務効率化×AIで成果を出す海外AIソロプレナーの事例集』に掲載されています
概要
Wajahat Karimは、パキスタンを拠点に活動するAndroid開発者で、Google Developer Expert in Androidの肩書きや技術書の執筆実績を持つ人物だ。RemoteKaroではリモート就職支援の講座や教材を展開してきたが、2025年10月からはshipkaroという名前で、自ら小さなアプリを短い周期で公開していく取り組みを前面に出し始めた。Shipkaroのニュースレター初回号では、1本目の主要アプリとして音声日記アプリのMyDiary AIを10月1日に公開し、その後にGen-Z向けスラング辞典アプリも続けて投入した経緯が語られている。さらに本人サイトやRemoteKaroの情報を見ると、彼は2017年からリモートワークを続けつつ、教育・発信・開発を横断してきたキャリアの延長線上で、個人プロダクト群の立ち上げに踏み出したことがわかる。
ビジネスモデル
足元の中心はモバイルアプリ課金型のモデルだ。MyDiary AIはGoogle Playで配信され、ニュースレター本文では期間限定のライフタイムプラン購入者に加え、月額課金の利用者も出ていると触れている。つまり単発販売ではなく、サブスクリプション収益を育てる構造を狙っている。
集客の進め方も特徴的で、完成度を極限まで高めてから出すのではなく、まず公開し、その反応をSNSとストア指標で確かめながら改善を重ねる流れを取っている。本人はGoogle Playの動画付きリスティング検証や、課金導線の見直しを進めており、プロダクト開発と獲得導線の最適化を同時並行で回している。加えて、LinkedIn・Instagram・Xで短期間に大量投稿し、ビルド・イン・パブリックそのものを認知拡大の装置として使っている点も見逃せない。
RemoteKaro側には、書籍、履歴書レビュー、マスタークラス、YouTubeなど複数の商品棚が並んでいる。一方でshipkaroでは、教育ビジネスで培った発信力をそのままアプリの初期配布に流し込む構図が見える。要するに、既存の個人ブランドを土台にして、アプリ収益を積み上げる“開発者発のモバイル事業”へ比重を移している。
収益規模
初回ニュースレターの時点では、shipkaro全体の目標として月次1万ドルのMRRを掲げていたものの、その時点で到達していたわけではない。確認できた後続情報では、2025年11月13日公開の第4回ニュースレターで、MyDiary AIの売上が100ドルを超えたと本人が書いている。したがって、少なくとも2025年秋の段階では、まだ立ち上げ初期の検証フェーズにあると見るのが妥当だ。
一方、インストール規模については、初回ニュースレター時点でMyDiary AIが約500インストール、Gen-Z Slangs Dictionaryが約300ダウンロードと紹介されている。Google Playの掲載情報では、その後MyDiary AIは1,000超のダウンロード帯に入っていることも確認できる。もっとも、月商やMRRの継続推移までは継続開示されておらず、安定した定期収益の全体像までは読み切れない。
学べるポイント
第一に、彼のやり方は「小さく出して、公開の場で学ぶ」ことに徹している。ニュースレターでは、長い準備よりも実際に出した1週間のほうが学びが大きいという実感を前面に出していた。これは個人開発でありがちな過剰設計を避け、配布後の改善に時間を寄せる発想だ。
第二に、配信面の最適化を軽視していない。Google Playの動画有無テストや、paywallの改善実験に触れていることから、彼はプロダクトの中身だけでなく、ストアページと課金導線も同じくらい重要だと捉えている。アプリ事業では“作る力”だけでなく“見せる力”が必要だという好例だ。
第三に、既存の信用資産を新規事業に転用している。Wajahat KarimはAndroid開発、登壇、技術記事、RemoteKaroの講座運営で長く露出を積み上げてきた。shipkaroは完全なゼロスタートではなく、その蓄積の上に立つ。個人開発者にとっては、先に発信基盤や専門性を築いておくことが、後の獲得コストを下げると示している。
第四に、AIや外部APIを使う際のコスト感覚を持っている点も重要だ。第2回ニュースレターでは、MyDiary AIでElevenLabs、OpenRouter、Mistralを使っていることを明かしつつ、別件でAPI設計を誤って高額請求を招いた経験も共有していた。AI活用は魅力的だが、キャッシュや呼び出し制御まで含めて設計しなければ収益性を壊しかねない、という教訓が読み取れる。
日本での再現可能性
一定の再現性はある。ただし、そのまま模倣するより「何が再現できて、何が前提条件か」を切り分ける必要がある。
再現しやすいのは、短い公開サイクル、アプリストアでの訴求改善、SNSでの制作過程の発信、この3点だ。日本でも個人開発者がX、YouTube、note、Qiitaなどを使い、制作の途中経過を見せながら初期ユーザーを集める流れは十分に成立する。特にモバイルアプリは、Web SaaSよりも小さく出しやすく、1人開発との相性がいい。
一方で、彼と同じ速度で結果を出すには前提も大きい。Wajahat Karimは10年以上のAndroid経験、書籍執筆、登壇、Google Developer Expertの肩書き、さらにRemoteKaroで築いたコミュニティを持っている。日本で同じ施策を取っても、発信母数や既存信頼が弱ければ立ち上がりは遅くなるはずだ。
したがって日本で真似するなら、いきなり“2週間ごとに新作量産”だけを切り取るのではなく、得意領域を絞った小型アプリを出し、SNSとストア改善を繰り返しながら、並行して個人の専門ブランドを育てるやり方が現実的だ。技術力だけでなく、発信と配布をセットで回す人ほど再現性は高まる。
出典
- https://shipkaro.substack.com/p/shipkaro-journey-1
- https://shipkaro.substack.com/p/my-shipkaro-journey-to-10k-mrr-2
- https://shipkaro.substack.com/p/my-shipkaro-journey-to-10k-mrr-4
- https://remotekaro.com/
- https://www.wajahatkarim.com/
- https://wajahatkarim.com/speaking/
- https://play.google.com/store/apps/details?id=com.remotekaro.mydiaryai
- https://play.google.com/store/apps/details?hl=en_US&id=genz.slangs.dictionary.translate
- https://api.pageplace.de/preview/DT0400.9781783289646_A23443320/preview-9781783289646_A23443320.pdf
コメント
単なる“技術がある人の個人開発”で終わっていない点が面白い点だ。教育事業で得た信頼、Android開発の実務経験、SNSでの可視化をまとめて使い、まずは小さな配信事業としてアプリ群を立ち上げている。日本の個人開発者が参考にするなら、完成度の高さよりも、公開頻度と学習速度を競争力に変える姿勢に注目したい。
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