Branko PetricはなぜX運用SaaSを立ち上げ、収益化につなげることができたのか
本記事にはアフィリエイト(PR)リンクが含まれる場合があります。詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。
Branko PetricはDevOps Engineerとしての実務感覚を土台に、Xを開かずに投稿を継続できるOpenTweetを立ち上げた。単なる予約投稿ではなく、RSS・GitHub・Stripe・API連携から下書きを生み出す設計と、AIを“自動投稿装置”ではなく草案作成支援に留めた線引きが特徴だ。
- 10〜50万円
- SaaS
- マーケティング/広告
- コミュニティ
この記事は『マーケティング×AIで成果を出す、海外AIソロプレナーの事例集』に掲載されています
概要
Branko Petricは、自身のサイトでDevOps Engineerと名乗りつつ、個人開発プロダクトとしてOpenTweetを手がけている。Hacker Newsへの投稿では、Xのタイムラインを開かずに発信を続けたいという自分の課題からこのサービスを作ったと説明している。単なるSNS運用ツールではなく、「投稿の継続」を開発者や個人事業者の実務フローに埋め込む発想が出発点になっている。
OpenTweetは、X向けのスケジューリングと自動化を軸にしたプロダクトだ。特徴的なのは、RSS、GitHub、Stripe、Webhook/APIなど外部の活動データを取り込み、投稿候補を先に作る“コネクタ”の存在である。ユーザーはカレンダー上で確認・編集し、必要なら承認してから投稿できる。Branko Petric自身も、AIに勝手に量産させるのではなく、実際の活動を材料に文章化する補助として使う設計を重視している。
ビジネスモデル
収益化の中心はサブスクリプションで、2026年時点の料金ページではProが月額11.99ドル、Advancedが29ドル、Agencyが49ドルとなっている。7日間の無料トライアルを入り口にしつつ、個人利用から複数アカウント運用まで段階的に単価を上げる構成だ。
提供価値は大きく3層ある。第1に、通常の予約投稿・カレンダー管理。第2に、RSSやGitHub、Stripeなどから更新を拾って投稿草案に変える自動化。第3に、REST APIやMCPサーバー経由でAIクライアントや開発環境からX投稿を扱える“開発者向け投稿基盤”の側面である。ここが一般的なSNS運用ツールとの差別化ポイントになっている。
また、OpenTweetはX専用に絞っている点も見逃せない。多機能な総合SNS管理ではなく、X投稿の作成、再利用、分析、エージェント連携までを深く掘ることで、ニッチだが明確な利用理由を作っている。
収益規模
Branko PetricはHacker News上で、ローンチから数か月で有料ユーザーが84人いると述べている。単純に最安プランの月額11.99ドルだけで計算しても、月商は約1,007ドル規模になる。日本円換算では為替次第だが、おおむね10万円超のレンジに入る水準だ。
ただし、この試算には上位プラン契約者の有無、年払い比率、解約率、無料トライアルからの転換率は含まれていない。したがって、確認できるのは「少なくとも小規模ながら課金ユーザー基盤を持つ」ことまでで、正確なMRRは未公表とみるのが妥当だ。
学べるポイント
1つ目は、創業動機が非常に具体的だったことだ。Branko Petricは「X運用を続けたいが、タイムライン自体は開きたくない」という自分の摩擦から着手している。抽象的な“AI SNS支援”ではなく、行動を妨げる一点を外したことで、機能設計がぶれにくくなっている。
2つ目は、AIの役割を限定したことだ。Hacker Newsでの説明でも、AIは空白の画面を前にしたときの草案支援であり、無制限の自動運転ではないという立場を示していた。実活動をソースにして、最終確認は人が行う。これにより、AI投稿ツールにありがちな“中身の薄い量産”への反発を和らげようとしている。
3つ目は、開発者文脈での差別化である。OpenTweetはREST API、MCPサーバー、IDEやAIクライアントとの接続を前面に出している。SNS担当者向けSaaSとして売るだけでなく、エージェントや自作ツールから投稿を制御したい人にも広げているため、価格以上に用途の広さで勝負しやすい。
4つ目は、実際の活動ログをコンテンツ化する設計だ。GitHubのコミット、ブログ更新、売上節目など、もともと存在する情報を投稿下書きに変えるので、ゼロから毎回ネタを作る必要がない。個人開発者が継続発信で詰まりやすいボトルネックを、ワークフローの変換で解いている点が参考になる。
日本での再現可能性
日本でも再現余地はある。ただし、そのまま横展開するより、対象顧客を絞った方が通りやすい。たとえば個人開発者、BtoB SaaSの創業者、採用広報を担う小規模チームなど、「情報発信の必要性は理解しているが、SNSを開く時間や心理コストが重い」層には適合しやすい。
一方で、日本市場ではX専業ツールの訴求だけではサイズが限られる可能性がある。国内ではSNS運用代行、コンテンツ制作、採用広報など隣接課題と一緒に提案した方が、導入理由を作りやすいかもしれない。特に“投稿を自動生成する”より、“社内にある更新情報から発信案を半自動で整える”という位置づけの方が受け入れられやすいだろう。
再現の鍵は、AIそのものではなく入力データにある。日本版を考えるなら、Notion更新、note公開、Shopify受注、採用ページ更新、イベント告知など、国内ユーザーが日常的に使う情報源との接続をどう設計するかが勝負になる。
出典
コメント
Branko Petricの事例は、SNS支援ツールを“発信代行”ではなく“活動ログの編集レイヤー”として組み直した点が面白い。AIの派手さよりも、投稿の材料をどこから持ってくるか、そして人間の確認をどこに残すかに設計の重心がある。個人開発の文脈でも、問題設定が鋭ければ十分に課金プロダクトへ持ち込めることを示す例だ。
海外のソロプレナーたちの工夫を、日本で実践するとしたら? ソロプレナーの道具箱はこちら →
関連記事
Rob HallamのSuperX成功事例|Xで発信しながら月2万ドル超のSaaSを作ったソロファウンダー
Rob Hallamは、2023年のレイオフをきっかけに独立し、X向け成長支援ツールSuperXを単独で立ち上げた。広告費を投じず、X上で開発過程を継続発信することで利用者を増やし、短期間でMRRを積み上げた点が特徴だ。プロダクト改善と個人ブランド形成を同時に進めた動きは、ソロ起業家の顧客獲得モデルとして参考になる。
Alexander Belogubovが実践した、遅い立ち上がりでも顧客を掴む方法
Alexander Belogubovは、ウクライナ拠点のソロ起業家。多数のプロダクトを試した末に、ReplymerやRefgrowのようなマーケティングSaaSへ軸足を移し、派手なバズではなく小さな獲得チャネルの積み上げで売上を作ってきた。Replymerではソーシャル上の会話起点の露出獲得、RefgrowではSaaS向けアフィリエイト導入の簡素化という異なる課題を攻めており、共通するのは“手間のかかる運用を商品化する”発想だ。
$150 MRRのDeepReachAIを育てるAryanの戦い方
Aryanは、見込み客の調査と個別最適化した営業メール作成を支援するDeepReachAIを単独で運営する創業者だ。月次経常収益は150ドル、ユーザー数は約250人。広告費をかけず、RedditやXで課題感の強い投稿に直接入り込む動きだけで初期ユーザーを獲得してきた。AI機能そのものより、LinkedIn自動化やWhatsAppのスクレイピングを避ける運用方針が信頼形成に効いたという点も示唆に富む。
Orshotを一人で伸ばすベルリン拠点の創業者 Rishi Mohan
Rishi Mohanは、インド出身でベルリン在住のソロファウンダー。デザイン起点の経験をもとに、画像・PDF・動画の自動生成を行うAPI型プロダクト「Orshot」を立ち上げ、公開指標ベースでは2026年7月時点で月次経常収益6,600ドル規模まで拡大している。少人数、APIファースト、公開運営、顧客密着を組み合わせた事業づくりが特徴だ。
月商約300万円のMirraを育てたDylanの戦い方
Mirraを一人で育てるDylanは、無料流入頼みのSEOから離れ、SMB向けに再設計し、創業者自身を前面に出す発信へ切り替えることで単価と継続率を引き上げた。14か月でMRR2万ドルに到達するまでの軌道修正は、ソロSaaSが誰に売るかと、いつ課金するかの重要性をよく示している。