Alexander Isoraが実践した、スタートアップ向けランディングページ作成SaaS「Unicorn Platform」の顧客獲得方法
Alexander Isoraは、スタートアップ向けランディングページ作成SaaS「Unicorn Platform」を立ち上げ、MVP公開からProduct Huntと口コミを軸に顧客を獲得した起業家。巨大プレイヤーが並ぶ市場で、対象顧客を絞り、機能を削ぎ、手厚いサポートを前面に出す戦い方で事業を伸ばし、その後は約80万ドルで売却した。
- 500万円超
- SaaS
- マーケティング/広告
- Product Hunt
概要
Alexander Isoraは、スタートアップ向けのランディングページ作成サービス「Unicorn Platform」を育てた創業者である。2018年にMVPを短期間で作り、Product Huntでの公開を起点に初期販売を獲得。その後は、汎用サイトビルダーと正面から機能競争するのではなく、スタートアップやSaaS運営者に合う使い勝手へ寄せることで差別化した。
初期時点では月次売上4,000ドル超、利用サイト5,000超という規模まで到達しており、のちには月次経常収益1.6万ドル、課金顧客1,000超、累計ユーザー4.1万人規模まで拡大した。その後、Unicorn Platformは2022年に約80万ドルで売却され、買収後もしばらく同プロダクトに関わっていたことが確認できる。
ビジネスモデル
Unicorn Platformの中身は、スタートアップ向けに特化したランディングページビルダーだ。収益源はサブスクリプションに加え、初期にはライフタイムディール販売も使っていた。MVP公開時の売上には、継続課金だけでなくライフタイムライセンスの販売分も含まれていた。
面白いのは、競争回避の切り口である。WordPress、Wix、Squarespaceのような大手と比べ、機能の総量では勝負しない。代わりに、SaaSやアプリの創業者・マーケター向けに対象を狭め、必要な機能に絞り込み、導入のわかりやすさとサポート品質で選ばれる形をつくった。
集客面では、本人が繰り返し挙げている主要チャネルがはっきりしている。ひとつはProduct Huntでの定期的な再ローンチ、もうひとつは既存顧客からの口コミだ。広告も試したが成果は薄く、むしろプロダクトを磨き、満足したユーザーが次のユーザーを連れてくる流れを重視していた。また、サイドプロジェクトやコミュニティ運営を通じて、見込み顧客の注意を集める発想も持っていた。
収益規模
Failoryの2020年時点インタビューでは、Unicorn Platformは月次経常収益4,000ドル超、利用サイト5,000超の規模に達していた。MVP公開直後には、サブスクリプション売上5,892ドルとライフタイムディール9,271ドルを得ていた。
その後のIndie Hackers掲載内容では、月次経常収益1.6万ドル、課金顧客1,000超、累計ユーザー4.1万人まで成長したことが示されている。さらに2022年には、Alexander Isora自身のブログで、ブートストラップで育てたSaaSを80万ドルで売却したと述べている。
円換算は為替次第でぶれるが、月商ベースでは日本円で100万円を大きく超える水準に入っていたと見てよい。
学べるポイント
第一に、巨大市場では“広く取る”より“狭く刺す”ほうが戦いやすいことだ。Unicorn Platformはサイト作成全般ではなく、スタートアップのランディングページという用途に寄せたことで、誰向けの道具かが明確になった。
第二に、初期拡大の起点としてコミュニティ性のある配信面をうまく使っている。Product Huntでの公開は単発イベントではなく、節目ごとの再打ち上げとして活用されていた。新機能追加や改善を伴うたびに再注目を狙うやり方は、広告費の少ない小規模SaaSに合う。
第三に、サポートを単なるコストセンターで終わらせていない。機能不足があれば無料でカスタムコードを出す、反応速度そのものを価値として見せる、といった運営姿勢が口コミにつながっていた。ソロ創業や少人数体制のSaaSでも、サポートをブランドの一部にできるという好例である。
第四に、本人は“マーケティングをやりすぎる”より“プロダクトが自然に広がる状態”を優先していた。もちろん再現には限界があるが、少なくとも初期は、製品の完成度・対象顧客の明確さ・ユーザー満足を先に積む戦略が機能していた。
日本での再現可能性
再現性は十分ある。ただし、そのままコピーするより、国内向けに対象セグメントをさらに絞るほうが成功確率は高そうだ。たとえば「SaaSのLP作成」全般ではなく、「BtoB SaaSの検証用LP」「採用広報用LP」「個人開発者向けの英語LP」など、用途単位で切り出したほうが差別化しやすい。
日本市場では、汎用ノーコード制作ツールはすでに多い。そのため、再現の鍵はビルダー自体の新規性より、誰のどの業務をどれだけ短くするかにある。Unicorn Platformが示したのは、広い市場で勝つ方法ではなく、狭い市場で選ばれる設計のしかたである。
一方で、日本ではProduct Huntの影響力が英語圏ほど強くない領域もあるため、集客チャネルは少し調整が必要だろう。国内であればSNS、コミュニティ、既存顧客紹介、ニッチSEOを組み合わせるほうが現実的な場合が多い。つまり、思想は輸入できるが、流入導線はローカライズが必要という見立てになる。
出典
- https://www.failory.com/interview/unicorn-platform
- https://www.indiehackers.com/post/i-bootstrapped-a-landing-page-saas-to-10-000-mrr-ama-01d388527b
- https://www.indiehackers.com/post/unicorn-platform-800k-sale-interview-9b3c97dc72
- https://isora.me/i-sold-saas-for-800k/
- https://unicornplatform.com/blog/acquired/
- https://www.linkedin.com/in/alexanderisora
コメント
Alexander Isoraの事例は、派手な資金調達や大規模広告がなくても、狙う顧客を明確にし、製品体験とサポートを磨けば小さなSaaSを積み上げられることを示している。とくに印象的なのは、プロダクトの良さだけでなく、誰のための製品かをはっきり言い切っていた点だ。広い市場で埋もれるより、特定の人に強く刺さる設計を先につくる。この発想は、今の日本のマイクロSaaSにもそのまま応用しやすい。
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