AIの「できました」をうのみにしない、Sophie Kazandjianが1人で営む業務代行「Sophie's Bureau」
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南フランスのSophie Kazandjianは、コンサルタントや小さな会社の仕組みづくりや事務を1人で引き受けている。資料づくりや文章の下書き、文字起こしにはAIを使う一方で、AIが間違えた例を自分のサイトで記録し、顧客が特定できる情報は外のAIの道具に入れないと決めている。一部のAIの道具が前より当てにならなくなり、確かめる作業が仕事の大きな部分になったという。
- 非公開
- 受託/サービス
- 生産性/汎用
- 非公開
- Claude
- ElevenLabs
- NotebookLM
- Claude Design
- Mistral
Sophie Kazandjianは、南フランスで「Sophie's Bureau」という業務代行の事業を1人で営んでいる。顧客の資料づくりや文章の下書き、会議の文字起こしにはAIを使う。その一方で、AIが自信満々に間違えた例や、条件をすべて満たしたと報告したのに実際は足りていなかった例を、自分のサイトの記事に書き残している。一部のAIの道具は前より当てにならなくなり、その結果を確かめることが自分の仕事の大きな部分になった、と本人は書いている。
何をしている人か
Sophie Kazandjianは、自分を「デジタルオペレーションのパートナー」と紹介している。拠点は南フランス・ガール県のサン=カンタン=ラ=ポトリーで、イギリスやヨーロッパのコンサルタント、コーチ、小さな会社を顧客にしている。サイトの紹介ページでは、顧客の仕事はすべて自分で行い、共同経営者も外注先もいないと書いている。事業はフランスの個人事業として登録されている。
仕事の中身は幅広い。AirtableやClickUpといったツールで顧客の仕組みを作って整え、Webサイトを作り、メールや予定、書類の管理を引き受ける。EUの会社のツールへの乗り換え、EUのAI法への備え、イギリスのサイバーセキュリティの認証(Cyber Essentials)の取得も手伝っている。サイトには、月額900ユーロからの継続契約と、1,600ユーロからの短期の案件(どちらも税抜)が載っている。
AIの使い方
本人のサイトに2025年から2026年にかけて書かれた記事から整理する。
- 文字起こしは、精度で使い分ける。 会議のメモや手早い文字起こしにはOtterを、インタビューのように正確さが要る音声にはSonixを使っている。
- 文章の下書きを任せる。 ブログ記事やSNSの投稿、書きにくいメールの下書きにAIを使う。2025年の記事では、1つの文章をLinkedIn向け、Instagram向け、メールの件名に直すのに1分もかからない、と書いている。
- 報告書や資料を作らせる。 顧客向けの報告書やデータの説明に使うWordの文書、スライド、表計算のファイルは、Claudeで作っている。2026年3月の記事では、これで毎週何時間も浮いていると書いている。
- 道具を役割で分ける。 文章を書くことと作ることにはClaudeを、調べものにはフランスのMistralのLe Chatを使う。2026年の道具の一覧には、複数の書類をまたいで調べるNotebookLMや、ClickUpとAirtableのAIの機能も載っている。
- ある1日の仕事。 2026年10月の記事では、継続契約の顧客のための1日の7つの仕事と、別の日の製品紹介の動画づくりを書いている。8つのうち5つにAIを使い、ダッシュボードづくりやSNSの投稿の下書き、動画の中でアプリに話しかける利用者の質問の声(ElevenLabs)に使った。
自分の事業にもAIを使っている。2025年の記事では、Makeやn8nで作った自動化とAIを組み合わせて、会計ソフトXeroからの請求の集計や、ClickUpからの進み具合のまとめなど、毎週数時間かかっていた手作業をなくしたと書いている。2026年5月の記事によると、自分のWebサイトをClaude Designで2日で作り直し、37本の記事を移した。公開までの後片づけには、さらに3日かかったという。前のサイトのサービスをやめたことで、年336ユーロが浮いた。小さな有料のデジタル製品「Skin Resonance」も、Claudeと約1週間で作った(2026年4月の記事では公開時の価格が15ユーロ、11月7日時点の製品のサイトでは12ユーロ)。コードはすべてClaudeが書き、それ以外の判断は自分でした、と書いている。
AIが間違えたこと
本人は、AIの失敗をいくつもの記事に書いている。
- 自信を持って間違える。 2025年の記事では、新しいAIの道具の中には前より当てにならないものがあり、自信を持って間違えることもあるので、確かめる作業が仕事の大きな部分になったと書いている。ある顧客のメールの開封率について、Claudeが23%上がったと答えたが、実際は下がっていた。
- 「条件をすべて満たした」と報告する。 作業の流れを試したときの例をもとにまとめた事例(本人は複数の例を合わせたものだと断っている)では、AIが「すべての条件を満たした」と報告したのに、3つの結果のうち1つは100件のうち68件しか入っていなかった。本人はここから、AIは言われない限り、基本的な確かめをしない、という教訓を引いている。
- 見落としに気づかない。 10月の記事の製品紹介の動画では、AIが指摘しなかった問題を9つ見つけた。買う人の目線で動画を見て、自分で気づいたものだという。
決めている線と、注意していること
- 顧客が特定できる情報は、外のAIの道具に入れない。 道具の一覧の記事では、顧客が特定できる情報は使っているAIの道具に入れないと書き、紹介ページでは、そうした情報は自分のパソコンの中で動くAIのモデルで扱うと書いている。
- 道具は、倫理の面でも選ぶ。 2026年3月の記事では、2月にChatGPTの有料の契約をやめたと書いている。調べものに使っていたPerplexityも、倫理上の理由でやめた。アメリカの会社のClaudeを使い続けることは、自分が受け入れている折り合いだという。
- 受信箱をAIエージェントに任せる危険を説明している。 2026年10月の記事では、メールに仕込まれた指示でAIが操られる危険や、メールの写しがエージェントの会社やその先のAIの会社に渡ることを挙げ、任せる前に業者に確かめたい質問をまとめている。ニュースレター用に分けたアドレスなら任せてもよい、という提案もしている。
- 考える力についても書いている。 創作についてのエッセイでは、自分で考える前に生成された答えに手を伸ばすと、作る力が弱まる、と書いている。
日本でまねするなら
- AIが「できました」と報告しても、報告ではなく結果を確かめる。件数や増減のように、正しい答えの形が分かっているものは、自分の手で数え直す習慣をつけたい。
- AIに頼むときは、「終わったら件数が合っているか確かめて」のように、確かめる作業まで指示に入れる。そのうえで、自分でももう一度確かめる。
- 顧客の名前や連絡先など、AIに入れない情報を、仕事を始める前に決めて顧客にも伝えておく。日本で業務代行やオンライン秘書をしているなら、それ自体が信頼の材料になる。
- AIが見落としたものを記録しておくと、自分が何に責任を持っているかを、顧客にも自分にも示せる。
- 自分のサイトの作り直しや小さな製品づくりのように、失敗しても困らない自分の仕事で、AIの得意と不得意を先に試しておく。
事業の数字と経緯
- 2018年4月:フランスで個人事業として登録(フランスの公開の事業者登録による)
- 2026年5月:Claude Designで自分のWebサイトを作り直したことを記事に書く
- 2026年10月:1日の仕事の流れと、AIエージェントにメールを任せる危険についての記事を公開
サイトには料金(月額900ユーロからの継続契約、1,600ユーロからの短期の案件、税抜)と顧客の推薦文が載っている。売上の金額や顧客の数は公開されていない。浮いた時間や見落としの数は、いずれも本人の記事による。
出典
- https://sophiesbureau.com/
- https://sophiesbureau.com/about
- https://sophiesbureau.com/legal
- https://sophiesbureau.com/digital-ops/why-ai-still-needs-a-human
- https://sophiesbureau.com/digital-ops/ai-human-oversight-limitations-workflows
- https://sophiesbureau.com/digital-ops/my-ai-stack-2026-calm-selective-human-led
- https://sophiesbureau.com/digital-ops/why-i-cancelled-chatgpt-claude-ai
- https://sophiesbureau.com/digital-ops/attention-economy-creativity-ai
- https://sophiesbureau.com/digital-ops/free-tool-to-paid-product-ai-build
- https://sophiesbureau.com/digital-ops/rebuilding-my-website-with-claude-two-days
- https://sophiesbureau.com/digital-ops/day-in-the-life-digital-operations-partner
- https://sophiesbureau.com/digital-ops/ai-email-agents-inbox-privacy-risks
コメント
Sophie Kazandjianの事例で参考になるのは、文字起こしから資料づくりまでAIを使いながら、AIが間違えた例を自分のサイトで隠さずに書いている点だ。開封率の増減や件数の不足は、結果を数え直せば気づける種類の間違いでもある。顧客の情報を外のAIの道具に入れないと先に決めておくやり方は、日本で業務代行やオンライン秘書をする人にもそのまま使える。
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