Hwee-Boon Yarが実践した、Claude Codeに開発を任せるためにAGENTS.mdを育てる方法
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シンガポールで自分のソフトウェア製品を1人で作るHwee-Boon Yarは、Claude Code・Codex・Droidの3つのコーディングエージェントに同じAGENTS.mdとスキルを読ませ、コードはほとんど書かずに差分を読む側に回っている。本人のブログに書かれた作業の流れを整理した。
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この記事は『Claude Code 活用事例集|一人で開発・運営する世界のAIソロプレナーの使い方』に掲載されています
Hwee-Boon Yarは、すべてのプロジェクトに「AGENTS.md」というファイルを置き、Claude Codeなどのコーディングエージェントに起動のたびに読ませている。中身はプロジェクトの構成、開発用のコマンド、コードの書き方の決まりで、本人はブログで、エージェントの質を上げるためにやっていることの中でいちばん効いていると書いている。作業を終えるたびにエージェントにAGENTS.mdを直させるので、ファイルは使うほど良くなっていく。
何をしている人か
Hwee-Boon Yarは、シンガポールを拠点にリモートで働くインディーの開発者だ。本人のブログでは、自分のソフトウェア製品を作って売るブートストラップの創業者だと紹介している。プログラミング歴は30年で、コーディングエージェントを毎日使い始めて1年以上になるという。手がける製品には、コーディングエージェント向けのSaaSの土台「Stacknaut」や、Blueskyの発信者向けのツール「TheBlue.social」がある。
AIの使い方
本人のブログ記事「My Complete Agentic Coding Setup and Tech Stack」(2026年2月公開、6月更新)と「Using tmux with Claude Code」(2025年11月公開、2026年7月更新)から、作業の流れを整理する。
- 3つのエージェントを使い分ける。 コーディングエージェントはDroid、Claude Code、Codexの3つを使っている。3つとも同じAGENTS.md、スキル、コマンドを、Dropboxの1つのフォルダへのリンクで共有しているので、作業の内容や、そのとき性能の良いモデルに合わせて自由に切り替えられる。
- 別のモデルにレビューさせる。 Droid や Claude Code が書いたコードは、Codexにレビューさせている。1つ目のモデルが見落としたものを2つ目のモデルが拾うのは、品質を上げる方法の中でいちばん確実だったという。
- AGENTS.mdをプロジェクトの記憶にする。 CLAUDE.mdは「@AGENTS.md」の1行だけにして、管理するファイルを1つにしている。セッションの終わりに、エージェントに作業を振り返らせ、学んだことをAGENTS.mdに書き足させるスキルも作っている。
- スキルを組み合わせる。 よく使うスキルは、コミット、レビューと修正の繰り返し、コードを書く前に本人に質問して仕様を固めるもの、デプロイなどだ。「take over」と言うと、レビューと修正、コミット、デプロイまでを続けて実行する。
- tmuxで複数のセッションを並べる。 Claude Codeは1日中tmuxの中で動かしている。エージェントのセッションごとに別のウィンドウを開き、同じリポジトリでも別々の部分を担当させて、差分がぶつかる前に確認する。開発サーバーのログがどのペインにあるかをAGENTS.mdに書いておき、エージェントに直接読ませている。
- 任せ方を作業で分ける。 単純なTODOはDocker の中で確認なしに動くモード(YOLOモード)で走らせ、複雑な作業は対話しながら進めてから、機械的な部分を任せる。画面の作業では、エージェントがブラウザの画面やコンソールのエラーを読めるDevSnoopというツールを使っている。
人が残している部分もはっきりしている。コードを書くことはほとんど無くなったが、差分はよく読むという。データベースのスキーマを変えるマイグレーションの生成は、何が実行されるかを自分の目で確かめたいので、エージェントに任せず手で行っている。
2025年6月の記事では、Claude CodeにAPIのエンドポイントを実装させている間に家事を片付け、戻ってから確認して直す、と書いている。エージェントは時間だけでなく集中力も空けてくれる、というのが本人の見方だ。
日本でまねするなら
- まずは、いま使っているプロジェクトに、構成・テストの実行方法・コードの書き方の決まりを書いたAGENTS.md(Claude Codeだけを使うならCLAUDE.md)を1枚置くところから始められる。最初から完璧にせず、エージェントが間違えたところを1行ずつ足していけばよい。
- 作業の終わりに「今日の作業で分かったことをAGENTS.mdに追記して」と頼むのを習慣にすると、Hwee-Boon Yarのように、ファイルが使うほど育つ形に近づける。
- Claude CodeとCodexのように別の会社のモデルを1つずつ契約しているなら、片方に書かせ、もう片方にレビューさせる分担を試してみたい。
- 確認なしで動かすモードは、Dockerなどの隔離した環境に限るのが安全だ。データベースの変更や本番へのデプロイのように取り返しのつきにくい作業は、自分の目で確かめる段階を残したい。
事業の数字と経緯
2025年6月の記事で、本人は「ソロプレナーとしてゼロから始めるのは2回目」と書いている。ブログのAboutでも、自分の製品を作るブートストラップの創業者・インディーの開発者と紹介しており、セットアップの記事では、この環境が製品を1人で作るやり方にどう合っているかを別の記事に書いたと触れている。
Stacknautは、本人が使っている技術の組み合わせに、AIエージェント向けの設定と、HetznerとKamalによるデプロイを組み込んだSaaSの土台で、本人も新しいプロジェクトを始めるときに使っている。2026年10月26日時点の料金ページでは、買い切り199ドル(公開記念の価格で、のちに299ドルになると表示)で販売され、月49ドルのテキストでの相談も用意されている。TheBlue.socialのサイトには、2,690人以上のBlueskyの発信者が使っていると書かれている。
公開されている収益データは確認できなかった。
出典
コメント
Hwee-Boon Yarの面白さは、Claude Codeの使い方を「うまい指示の出し方」ではなく、AGENTS.mdとスキルという手元の資産として積み上げている点にある。セッションの終わりにエージェント自身にAGENTS.mdを直させる仕組みは、1人で複数の製品を回す人ほど効いてきそうだ。一方で、売上や利用者の推移はほとんど公開されていないので、事業としての成果はこれから見ていきたい。
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